The Quest of Wonders Parade|10年にわたり続けてきた人気コンテンツを刷新! 探究的に進化させた“体験型パレード”
「The Quest of Wonders Parade」
ピューロビレッジで行われるサンリオピューロランドのメインパレード。ある日、ハローキティが 「永遠にしあわせになれる秘宝」の神話の本を見つけたところから、物語は始まります。それぞれが思う「しあわせ」に期待を膨らませながら、光り輝くフロートに乗って秘宝を探しに冒険へ出発するストーリーです。
ピューロランド35周年を機に、10年ぶりに刷新された体験型のパレード「The Quest of Wonders Parade」。パレード制作に携わったプロデューサー、運営担当、テクニカル担当の3人が、パレードに込めたメッセージや進化させたポイントなどについて思いを語り合いました。
※本記事では「The Quest of Wonders Parade」の重大な展開が含まれますので、ご注意ください。
Profile
つい集めてしまうもの:サンリオのフィギュアたち。キャラクター問わず、デザインが好きだとなんでも買ってしまいます!
仕事のやりがい:サンリオのキャラクターの魅力を存分にお伝えできる現場に携われていること。
ピューロランドの好きなスポット:「~マイメロディ&クロミ~マイメロードドライブ」!乗り物自体がかわいすぎるところが好きです!
一番大切なメッセージを、世界中に届けたい。
なぜ、10年ぶりにパレードを刷新することに?
かがP(プロデュース):ピューロランド25周年を記念して制作された「Miracle Gift Parade」の人気は高く、これからも続けてもいきたいと思うほど素晴らしいパレードでした。しかし、当時最新だった技術もこの10年で革新的な進化があり、さらに時代の進化に即したエンターテイメントを届ける必要があると感じたんです。
また、コロナ禍の臨時休館を経て会社がピューロランドのあり方を、お客様にとっての「居場所」であると再定義したことも大きな理由のひとつですね。エンターテイメントとしての楽しさだけでなく、「今、私たちがお客様に一番届けたいメッセージは何か」を改めて見つめ直し、パレードを通して届けるべきだと考えました。こうした背景が重なり、35周年という大きな節目にリニューアルする運びとなりました。
のっち(運営):サンリオグループには「みんななかよく」という不変の企業理念がありますが、この10年の間で「One World, Connecting Smiles.」というビジョンも生まれました。これは、ひとりでも多くの人の笑顔をつくり出し、世界中に幸せの輪を広げていくという私たちの思いです。この思いをメッセージとして新パレードに込めたいと考え、制作に挑みました。
ピューロランドは2025年12月7日で35周年を迎えました。
改めて見つめ直す、 「みんななかよく」の“みんな”とは誰のこと?
かがP(プロデュース):私たちはまず、「企業理念である『みんななかよく』の“みんな”とは誰か?」を改めて深く考えることから始めました。その後、私たちが辿り着いた“みんな”には、定義にかかわらず多様なお客様がいらっしゃることを再認識したんです。
のっち(運営):ピューロランドのお客様はファミリーや20代の女性が多いのですが、「ファミリー」を見つめ直してみると、当然、子どもたちやお母さんだけでなく、お父さんも来てくれているんですよね。さらに昨今は、海外からのお客様も増えている状況です。そうしたより多くのお客様に「みんななかよく」のメッセージが届くようなパレードを目指しました。
リシャ(テクニカル):たとえば、パレードは日本語で行われるため、どうしても言葉だけでは第一言語が日本語でない方に伝わらない場面も出てきてしまうんですよね……。そのため、すべてのお客様に世界観をしっかりと伝えるために、視覚や音楽、音響による効果も、一つひとつ丁寧に検証したんです。“みんな”にメッセージがしっかりと伝わるかどうかを、社内の様々な人から意見をもらいながら制作していきました。
幸せな笑顔あふれる、RPG風の冒険ファンタジー!
パレードで表現したかった思想や哲学は?
「The Quest of Wonders Parade」ビジュアル
かがP(プロデュース):さらに私たちは、世界中に幸せの輪を広げていくにあたって、「幸せとは何か?」を徹底的に議論しました。「きれいな花が咲いていて、心が温まった」「子どもの成長に対して幸せを感じた」など様々な意見が飛び交うなか、幸せを感じる瞬間は人それぞれ違うことがわかりました。
それでも、パレードのメッセージとしてすべての人に共感してもらえるような「しあわせ」の表現を提示したい。それを見つけるために、メンバーみんなで模索していきました。そのなかで出たのは、「周りの人たちの笑顔を見ると、自分も自然と笑顔になる」「自分がしたことによって誰かが笑顔になるのは、誰もが共感する幸せな体験なのでは?」などといった意見でした。
また、人それぞれの幸せをお互いに肯定し合うことで自分も幸せになれるという意見に、全員が納得して。だから、「人それぞれの幸せの形は違うけど、みんなが“笑顔”になれたら、それがきっと一番の幸せ。“笑顔”は“しあわせ”でいるための大切な秘宝なんだ」というテーマ案に決まりました。
誰もが感じている日常のなかにある幸せを、キャラクターたちが体現するストーリー。決して魔法のような特別な力をもっているわけではないキャラクターたちが、力を合わせて見つけた秘宝とは――? ピューロランドならではのファンタジーをお楽しみいただきたいと考えて、RPG風の冒険パレードに仕立てています。
注目のキャラクターは、「ドラゴン」ですね。このドラゴンは、決して“悪”の象徴として登場しているわけではないんです。最初は少し怖かったけれど、実は……といった役どころなんです。
リシャ(テクニカル):しかも、多くの人が想像しそうな、釣り目でゴツゴツとしたビジュアルではなく、目が大きくて、色もかわいらしいドラゴンなんですよね。とてもピューロランドらしいと思います!
かがP(プロデュース):デザインや衣装も、冒険ファンタジーを意識してつくり込んでいます。また、こういった世界観をリアルに表現するために、最新技術を使いつつも、テクノロジーが主役のパレードにならないように工夫しています。
フロートにLEDパネルを搭載! 技術や演出にも新たな工夫を。
リシャ(テクニカル):今回、技術演出の新しいチャレンジとして、複数の特徴的なフロートを製作し、そこに映像が流れるLEDパネルを搭載しました。ただ、LEDパネルはフロートの印象を変えるには効果的ですが、どうしても機械的な印象を与えてしまうんですよね。そのため、フロートやパネルの形は、パレードが行われるピューロビレッジの雰囲気に馴染むように意識しました。
のっち(運営):じつは各フロートにラストでもうひと仕掛けあるのですが、その仕掛けを効果的に見せるためにフロートを正確な位置に留めないといけないので、ドライバーたちと繰り返しテストを行いました。こだわってつくっているシーンのひとつです。どんな仕掛けなのかはぜひピューロランドで見てみてください!
かがP(プロデュース):今回、過去のパレードも参考にしながら演出を考えましたが、好評だった手法を単に繰り返すのではなく、意味のある演出で、世界観をしっかり伝えることに注力しました。たとえばパレードに登場するエアリアル(空中アクロバット)で使う道具を、ティシュー(布)からスフィア(球体のフープ)に変更することで、前回の「Miracle Gift Parade」とはまた違う演出を目指しました。
のっち(運営):今回は、球体のフープを「光の精霊」として象徴的に使うために、素材や色合い、形にこだわって製作しました。神秘的な身体表現とあいまって、幻想的な世界観を表現できていると思います。
初めて映像演出が加わったフロート
スフィア(球体のフープ)を使った演出
パレードへの期待感と、お客様の広がりを感じた。
想定外の反応に驚いたことは?
かがP(プロデュース):新パレードのお披露目に合わせて、「ワンダーリボンライト」というパレードライトも登場しましたよね。想像以上に多くのお客様が手に取ってくださって、とても感激しています! このライトは、パレードが始まる少し前から光り始めるのですが、上演初日にライトが点いた瞬間、「わーっ!」という歓声が上がった時のことは今でも忘れられません。
リシャ(テクニカル):事前にWebサイトで公開していた振付映像にも注目が集まりましたね。振り付けを覚えてからパレードに参加されているお客様が多く、新パレードへの期待値やキャラクターへの熱量を改めて感じました。
のっち(運営):私は、英語でご案内したご家族が最前列でパレードを笑いながら楽しんでいる様子を見た時のことが印象に残っています。たとえ日本語がわからなくても、キャラクターの愛らしい行動に、思わず笑顔がこぼれる――。世界共通の幸せな瞬間を表現できたことに、喜びを感じます。
リシャ(テクニカル):そのほか、「ドラゴンがかわいい」という声は、想定以上に多いですよね。ただ、かわいい見た目と裏腹に、パフォーマーには体力と高い技術が求められるんです。今後、ドラゴンとパフォーマーがもっと“なかよく”なれるように、演出や構造そのものもブラッシュアップしていきたいですね。
のっち(運営):そうした反省も活かしながら、ピューロランドでは定期的にパレードやショーの見直しをする機会を設けています。改めて演出意図を確認し、出演者のパフォーマンスに支障が出ている箇所がないか、危険な箇所はないかなどのチェックも行い、改善ポイントを踏まえて変更を検討していきます。
かがP(プロデュース):これからも、より良いパレードへと磨き続けていきたいですね。
キャラクターやライブエンターテイナーともおそろいの「ワンダーリボンライト」
さらに表現を拡張させ、より質の高いエンターテイメントを!
リシャ(テクニカル):新しい技術を採り入れることで、ピューロランドの世界観をぐっと広げることができたと思います。たとえばフロートのLEDパネルに草原の映像を流すことで、キャラクターたちが今ピューロランドの外にいるということをよりわかりやすく伝えることができました。
かがP(プロデュース):そうですね。映像があれば、言葉やパフォーマンスで説明しなくても直感的に理解しやすいですから。今まで以上にお客様の没入感を高めることができたと思います。
のっち(運営):照明や音響も大幅にリニューアルしているんですよね。照明は10年前と比べると、明るさも色の細やかさもまったく別物で、以前よりグレードアップした印象を与えることができました。
かがP(プロデュース):たとえば、パレード冒頭の精霊たちのシーンでは、照明だけで森の澄んだ空気感や清涼感を表現したり、キャラクターたちが雷の中試練に立ち向かうシーンではぐっと暗くして緊張感を演出したり……。シーンごとに空間の表情がガラッと変わるのも、照明の進化があってこそだと思っています。
さらに、音響も最新のスピーカーに入れ替えたことで、オーケストラによる演奏の臨場感を再現。より豊かな音の表現ができるようになりました。今後も最新のテクノロジーを活用しながら、エンターテイメントラボとして成長していきたいですね。
リシャ(テクニカル):「The Quest of Wonders Parade」は、スタイリッシュな印象も受けるパレードで、ゲームのプレーヤーとして参加するような感覚で楽しめます。ピューロビレッジのパレードは、ほかのシアターでは絶対に再現できないような演出効果が生み出せるので、その価値をこれからもどんどん拡張していきたいです。
のっち(運営):個人的には、常に新しい技術を採り入れながらパレードやショーの更新サイクルのスパンを短くすることで、エンターテイメントラボとしてさらに進化していけると思います。そしてゆくゆくは、ピューロランドの外でも、この規模感のパレードやショーを展開していきたいですね! そうすれば、作品づくりの経験値や制作力が高まり、より良いエンターテイメントをお届けできると思います。
※本記事は2026年3月時点の内容です。